歌舞伎座 引窓 観てきました

久しぶりに歌舞伎座に行って来ました。
行きたい行きたいと思いながらもなかなか行けないもので、一年ぶりくらいです。

中村吉右衛門さんお目当てに
第三部の
双蝶々曲輪日記 引窓
を観てきました。

初めて観るお話で
ネットで分かりやすいあらすじを読んでから臨みました。
母と子の情愛を描いたジーンとする深いお芝居でした。

大坂の相撲取り 濡髪長五郎は殺人を犯し、母お幸の元に別れをしにやって来る。
母は再婚相手の義理の息子与兵衛とその妻お早と暮している。
与兵衛は代官から濡髪を捕らえる任務を与えられていた。
実の息子を助けたい母の想いとその心にほだされて義理の兄を助ける与兵衛。

淡々と話を進めていく尾上菊之助さん演じる与兵衛を挟んで
母お幸の中村東蔵さん、妻お早の中村雀右衛門さんの演技がとても光っていました。
義太夫の太夫の語りと三味線に合わせての役者の台詞のバランスやタイミングが絶妙!という感じがしました。
締めるところをきちっと締めて、気持ち良い気分にさせて下さる吉右衛門さんの芸はやはり凄い‼︎
感動しました。

派手さはない会話中心の劇ですが、
引窓という小道具を使い、人情を写し出すところなど演出が奥深いです。
また母が濡髪長五郎の月代を剃るシーン。
罪を犯した息子の月代を剃刀で剃る母の気持ち、また剃られる息子の情けない申し訳ない気持ち。長五郎の頬骨にある大きなほくろを、元の亭主の形見と、剃り落とせないお幸の気持ち。思わずグッと来ました。

10月31日のいちかいで務める
節劇「瞼の母」とは母子の情愛という共通点があり、芝居も含め、とても勉強になりました。
浪曲の芸に生かして参ります。
大好きな吉右衛門さんと大好きな世話物狂言で
贅沢な時間を過ごすことが出来ました。