港町十三番地と浪花節

深夜にNHKのドキュメンタリー
「NEXT未来のために」という番組で
「ある家族の長い旅路」という作品を見ました。

戦前に北海道から樺太、今のサハリンに出稼ぎの為渡った家族。ところが戦争がはじまり、終戦後も日本に帰れなくなってしまいます。
日本に残されていた長女の方は両親、兄妹と別れて懸命に生きる。
サハリンの家族も大変な苦労で生き抜いていく。
今年の冬、次女の方の病気を機に、生き別れになった十人の兄妹が再会するというドキュメンタリーでした。

戦争の為に、時代に、世の流れに翻弄されながらも必死で生き抜いて行く、人間の強い力を学ばせて頂きました。
特に次女の方が父親が病いに倒れた後、弟妹たちを親代わりになって、お乳まであげて育てた苦労。そして長女の方が「親も大変だったろうが私はそれ以上に苦労した」と語る所が対比的に映し出され感慨深かったです。

日本に帰りたくても帰れない母親はラジオから流れる美空ひばりさんの「港町十三番地」や浪花節を食い入る様に聴いていたそうです。
歌や節は日本人の心に、人間の心に深く入りこみ、郷愁を誘うのだと教えて頂きました。
次女の方は歌手になりたい夢を諦めて弟妹たちの為に生きるしか道がなかったそうです。

番組を見ていて私は浪曲という芸能に携われて、本当に有難いと思いました。日本の文化の良さが凝縮されていて、表現の可能性はずっと拡がっています。全てが勉強、芸に生かせるような芸人になりたいと思います。