正月2日の浅草木馬亭浪曲正月興行は、
東家一太郎10年目の年、はじめての舞台。
そして、師匠であります二代東家浦太郎の大病から復帰舞台でした。
私、一太郎は「安兵衛道場破り」を東家美の三味線で務めさせて頂きました。
お正月からいらして頂けるお客様のご声援が百人力の力となり、
今年はじめの浪曲、一歩を踏み出すことができました。
本当に有難うございました。
また、美は浜乃一舟師匠の三味線も弾きました。
「愛馬の勝鬨」競馬の競走馬にまつわる、姉弟の心温まるお話しです。
雲月節が見事決まった、素晴らしい舞台を勉強させて頂きました。
さて、師匠浦太郎のことを書きます。
昨年3月末に一太郎愛の会に出て頂いた後、師匠は入院されまして、
ご本人も今日舞台であの世に呼ばれかかったと仰っていましたが、
かなりの大病でした。
師匠がまた木馬亭の舞台に立って浪曲をやっていらっしゃること、
そしてまた変わらぬ師匠のいい節が、師匠にしか出せない声が聞けることが
奇跡に近いことだと思い、涙が溢れ出ました。
演目は十八番の「阿漕ヶ浦」。八代将軍吉宗の若き日の、大岡越前守との出会いの一席でした。
浦太郎師匠はおそらく浪曲界一、ネタ数の多い方です。その日、何のネタを舞台に掛けるか、聞いてもほとんど教えてくれません。
十年ずっと付いてほぼすべての師匠の浪曲を聞いている弟子の私でもネタの予想はあまり当たりません。
今日は「阿漕ケ浦」でしたが、奇しくも昨年末の数日間、私はずっと師匠の「阿漕ケ浦」を聞いていました。
♪ 南海道の~
と一節を聞いた時から、師匠と心が通い合っている気がして嬉しかったです。
そして、真剣に舞台を見て勉強させて頂きました。
師匠に対して弟子の私が掛け声をかけるのを今まで躊躇していました。もしタイミングを失敗したら弟子なので怒られますし、拍手はしても掛け声はお客様が掛けるものという意識がありました。また掛け声を絶妙なタイミングでするのはとても難しいのです。
しかし今日ははじめて、師匠の浪曲の最後に魂の底から掛け声を掛けさせて頂きました。
「日本一!」
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亜津佐 (水曜日, 04 1月 2017 03:45)
明けましておめでとうございます
念願の師匠と再び一緒に舞台に立つことが叶い、誠におめでとうございます
良かったですね
吉宗と越前のように、弁慶と義経のように、魂が似ている、呼吸のリズムが合うってうれしいですね
満10年を迎える今年の船出は上々ですね
一太郎 (金曜日, 06 1月 2017 12:15)
亜津佐 様
明けましておめでとうございます。
コメント頂きまして、誠に有難うございます。
返信が遅くなりまして申し訳ございません。
師匠と同じ舞台に立てることが本当に嬉しいです。
今まで当たり前だったその有り難さを実感しております。
魂が似ている、呼吸のリズムが合うというお言葉、深いですね!
日々、人生勉強して参ります。
一人では難破してしまいそうですが、周りの皆様のお陰で船出させて頂いております!!