台本〜行間を読む

浪曲には台本がありまして、それを覚え、お三味線と合わせて口演致します。

浪曲台本には作者がいます。
浪曲の台本作家の先生もいらっしゃいますし、
浪曲師自ら台本を書いているというケースも昔から意外に多いと思います。

また本当のオリジナル作品というよりも、昔から伝わる話や原作があり、それを浪曲作品として脚色しているのがほとんどではないかなと思っております。

「作」と「脚色」、微妙な所です(^^)

今日は雷門会のお稽古をお三味線に合わせて、させて頂きました。
「国定忠治と清水の頑鉄」のお話です。
7年前ぐらいに師匠から「やってみな」と台本を頂きまして、書き写したノートがこれです。
自分で覚えやすいように工夫しながら書きますので、年数が経つにつれて次第に書き方、覚え方が変わって来ます。
いま現在はまた覚え方が違います。

よく学生の頃に「行間を読みなさい」と教わりますが、
浪曲を口演することは本当に「行間を読んで」、お客様にお伝えすることだと思っております。
作者の想いを考えて、背景や人物を想像しながら表現して行くのは生涯かけての勉強だと思います。
失敗反省がほとんどですが(^.^)
その経緯がとても楽しく、浪曲師の醍醐味と思います。


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コメント: 4
  • #1

    亜津佐 (土曜日, 15 10月 2016 18:07)

    1つの浪曲を覚えるのに、どれくらいの時間がかかるのでしょうか?
    お噺の無いようにもよりますが、平均で。

    自分の年齢も重なると、また違った見方や考え方、共鳴が加わり、味がでるのでしょうね
    ある俳優さんが源頼家を演ずるとき、ここは泣く場面だと思い
    必死に泣く練習をしたそうです
    でも、監督はNGばかり。
    ここは泣かずに行きましょうと言われ、反発しながら、撮影し、ずっとわだかまりがあったそうです。
    でも、自分が年齢を重ねた時、あ~泣かずにいてよかったんだっと頼家の気持ちがわかったそうです。

    背景や情、行間・・奥がふかいですね

  • #2

    一太郎 (土曜日, 15 10月 2016 21:53)

    亜津佐様、いつもお読み頂きまして、またご質問して頂きまして誠に有難うございます。

    一席、浪曲を覚える期間は個人差があると思いますが、
    私は1、2ヶ月ぐらいは余裕が欲しいなと思っております。
    でも集中度によっていくらでも短くなります(^.^)

    ただネタ下ろししても1、2回で止まってしまうことが今まで多かったです。
    本当にお客様の前で自信を持ってできるネタというのは、まだとても少ないです。

    義家役の俳優さんのお話、とても勉強になりました(^^)

    自分一人で考えていても間違っていることが多いです。
    お客様や周りの人のアドバイスを大切に致します。





  • #3

    寺内 俊雄 (火曜日, 04 10月 2022 13:19)

    浪曲台本について、お尋ね致します。

    浪曲のレコードのジャケットの裏側に印刷(紹介)されている台本に、例えば、「啖呵」から「節」に移る場合、「節」の文頭に、ここからは「節」ですよ、というような意味の、波打たせた「く」 の字を二つ重ねたみたいな符号が付いていることがありますが、その符号は何と呼ばれているのでしょうか。お教え下さい。
          メールアドレス ― jr.8-chfa53@kind.ocn.ne.jp

  • #4

    寺内 俊雄 (火曜日, 04 10月 2022 16:12)

    東屋 一太郎  さま
     早速のご教示、有難うございました。
     庵点(いおりてん)というんですね。
     私のような、戦前の二けた生まれの末期高齢者にとっては、浪曲は子守歌のような存在です。
     父は大の浪曲好きで、ラジオからお気に入りの浪曲師の声が流れてくると、物音一つ立てさせなかったものです。初代東屋 浦太郎の「野狐三次」、初代春日井 梅鶯の「赤城の子守歌」、二代目広沢 虎造の「清水 次郎長伝」、鈴木 米若の「佐渡 情話」・・・誤字があるかもしれませんが・・・などについては、啖呵や節を少々暗記できる位聞かされておりました。特に、米若の発音には地方なまりが感じられ、〽佐渡へ佐渡へを、〽佐渡い佐渡い、と発声していたような気がします。
     眠れないままに、NHKのラジオ深夜便を聴いております。この番組で、浪曲を放送して頂ければ嬉しいのですが、多分、贅沢な希望になるんでしょうね。
     浪曲は、日本の伝統芸能です。私のような、隠れたフアンは沢山おられると思います。東屋 一太郎様のご芳名は、記憶させて頂きます。どうぞ、ご精進下さい。有難うございました。